トーラスを静止した形として見るならば、中央に穴の開いたドーナツ型をしています。ですがトーラスをエネルギーの流れとして認識するならば、とても興味深いものになります。
螺旋構造を持ち常にエネルギーを循環させ続けているトーラスには、内側も外側もありません。ドーナツの外側を周回して中央に空いた穴の上部から流入してきたエネルギーは、螺旋を描きながら巻き込まれ、下方に向かって流れていきます。その動きと連動して、外側を周回して下方から入ってきたエネルギーは、上方からのものとは逆向きの螺旋を描きながら上昇し、外側へ向かって解き放たれていくのです。お互いに引き込み解放し合う上下両方向からのエネルギーの流れの中心(ドーナツの穴の中央)には、ゼロ意識が存在しています。トーラスのエネルギーはこのゼロから発して外側へと進み、内と外とを循環させながら、ゼロへの回帰を無限に繰り返しているのです。
この世界にある全てのものはトーラス構造で出来ています。もしくは、トーラス構造のエネルギーの中で生きています。
六芒星やマカバ、フラワー・オブ・ライフやベクトル平衡体などはみな、このトーラス構造をそれぞれ違った視点と規模と角度から見たある瞬間をカタチとして表現したものですし、私たちの身近でも、トーラス構造を持つものはたくさん見つかります。例えば、リンゴ、オレンジ、グレープフルーツなどの果物の他に、台風や竜巻、地球を取り巻くマグネティックフィールド等もトーラスです。
左上:ベクトル平衡体 右上:六芒星(ダビデの星) 左上:マカバスター 右下:フラワー・オブ・ライフ
トーラス構造を持つものとしては、もちろん私たち人間も例外ではありません。私たちは、循環する目には見えないトーラスのエネルギーの内側に生きているのです。
頭頂にある第七チャクラから流入するエネルギーは、正中線(私たちの肉体を正面から見たとき、眉間、鼻の中央、唇の上のくぼみ、顎の先、へそなどの体の中心を垂直方向に走る線)を通って第六、第五、第四、第三、第二、第一の順に流れ下ります。更には足元まで達してぐるりとエネルギーの流れる方向を反転させ、体の側面を通って第七チャクラへと戻っていきます。それとは逆に、足元から上昇するエネルギーは第一チャクラから他のチャクラを順に通って第七チャクラへと上昇していき、第七チャクラまで到達した後、向きを変えて体の側面を下降して足元へと戻ります。
私たちは、トーラスのエネルギーによって育まれているのです。
無限のシンボル(∞)は、トーラスを横から見た図になっています。この∞の交わる点は、先に示したようにゼロですが、私たちの体に置き換えてみますと、それは第四チャクラ、ハートチャクラと呼ばれる部位に相当します。第四チャクラは愛を放ち、愛を受け取る場所。愛がすべてとはよく言われることですが、トーラス状のエネルギーの流れは、実はこのハートから生み出されています。やはり、愛を受け持つハートがすべての起点であり、全てが帰結するところなのですね。
トーラス構造の中心にあるのはゼロ意識ですが、この意識は愛そのものであり、その愛の大きさに比例する規模のトーラス構造を生み出す源となっています。
トーラスのエネルギーに包まれている私たちもまた愛そのものであり、小さきものをその愛で包み込んで育みながら、同時により大きな愛の中で育まれながら生きているのです。私たちがその事実に気づいて本来の在り方であるゼロへと還るとき、私たちは愛の中に自身を解き放ち創造の一端を担うことになるのですが、これは特別なことでもなんでもなく、ごく自然で当たり前のこと。
遅かれ早かれ、誰もがたどる道です。
ゼロ意識の生み出す空間と、空間とほぼ同時に生まれた時間の生み出す回転の中で、全てのトーラスは常に動いています。それも、より大きなトーラスの中を移動しています。始まりのゼロ意識から段階を経て派生した小宇宙はいたるところで大小さまざまに渦を巻き、ときには消え去り、ときには膨大な時間をかけて小さな螺旋から大きな螺旋へとぶつかり合いほどけて再統合を繰り返しながら、それら全てを包含する巨大なトーラスの内側で生き生きと活動を続けているのです。
時の流れの向こうで、再び全てが一つに帰結するその時まで。
全てが始まりのゼロ意識へと再統合されるその時まで。